BtoBカスタマージャーニーマップの作り方|7手順
BtoBカスタマージャーニーマップの作り方|7手順
BtoBカスタマージャーニーマップとは、BtoBの購買プロセスを認知から継続利用まで1枚に可視化し、マーケティングと営業の共通言語にする設計図である。平均6〜11名のDMUが関与し、84%の決裁者が営業接触前に意思決定の材料へ自力でたどり着くいま、単一ペルソナ向けの施策だけでは商談は前に進みにくい。
BtoBカスタマージャーニーマップとは、BtoBの購買プロセスを認知から継続利用まで1枚に可視化し、マーケティングと営業の共通言語にする設計図である。
平均6〜11名のDMUが関与し、84%の決裁者が営業接触前に意思決定の材料へ自力でたどり着くいま、単一ペルソナ向けの施策だけでは商談は前に進みにくい。
MA導入支援やABM設計の現場でも、施策は走っているのに「どのフェーズに効いているか説明できない」という相談は多く、そこでジャーニーマップが分解の起点になります。
だからこそ本記事では、目的設定からDMU設定、7つの購買フェーズ、施策とKPIの割り当て、ギャップ分析までを順に整理し、更新しながら使える形に落とし込んでいきます。
BtoBカスタマージャーニーマップとは|BtoCとの決定的な違い
カスタマージャーニーマップは、顧客が認知から購入、継続利用へ進む道筋を1枚で可視化する図です。
横軸に購買フェーズ、縦軸に態度変容や接点を置くことで、各段階で何が起き、どこで離脱しやすいのかを整理できます。
BtoBではこの地図を個人の好みだけで描くと足りません。
担当者、課長、部長、決裁者がそれぞれ違う視点で比較するため、組織の動きとして捉える必要があります。
カスタマージャーニーマップの定義と横軸・縦軸の考え方
カスタマージャーニーマップの役割は、断片的な接点を一本の流れにまとめることです。
認知、情報収集、比較検討、稟議、導入、活用、継続という購買フェーズを横に並べ、縦には態度変容、行動、接点、課題、施策、KPIを置くと、顧客がどこで迷い、何を確かめ、何を決めるのかが見えます。
BtoBではさらにDMUごとの関心も重なるため、単なる時系列の表ではなく、意思決定の設計図として扱うのが自然です。
現場では、きれいに整ったBtoCのジャーニーマップをそのままBtoBに持ち込み、現場担当者の感情だけを追って決裁者の視点が抜け落ちる、というつまずきが起こりがちです。
見た目は整っていても、稟議で必要な情報や比較材料が置かれていなければ、そこで止まります。
だからこそ、横軸と縦軸を分けて考え、各フェーズで誰が何を知りたいのかを具体化しましょう。
BtoBとBtoCの3つの違い:関与者・検討期間・判断基準
BtoCとBtoBの差は、感情で短時間に決まりやすいか、組織で合理的に比較されるかにあります。
BtoB購買では平均6〜11名のDMUが関与し、比較候補は平均2.6社に絞られます。
関与者が増えるほど確認事項も増え、判断は自然に長期化します。
しかも比較の軸は「好きかどうか」ではなく、「業務に合うか」「説明責任を果たせるか」「社内で通るか」に移るため、BtoCの発想のままでは設計がずれます。
| 比較軸 | BtoC | BtoB |
|---|---|---|
| 関与者 | 個人中心 | 担当者・課長・部長・決裁者などDMUが複数 |
| 検討期間 | 短い | 長期化しやすい |
| 判断基準 | 感情・好み・即時性 | 合理性・客観性・社内説明のしやすさ |
この違いは、施策の作り方にも直結します。
BtoCのテンプレートを流用すると、比較表や導入事例のように必要な情報は足りていても、誰に向けて出すべきかが曖昧になります。
BtoBでは、同じ資料でも現場担当者には運用のしやすさを、課長には部署内の負荷を、部長にはROIを、決裁者にはリスクと効果を示す必要があります。
おすすめです。
こうした出し分けを先に決めておくと、後工程の迷いが減ります。
なぜBtoBは『会社単位』で描く必要があるのか
BtoBの意思決定は、個人の購買行動の足し算ではありません。
決裁フローや部門の力関係は会社ごとに違い、同じ「導入検討」でも、情シスが強い会社と営業主導の会社では、通る情報も止まる場所も変わります。
そこで必要になるのが、個人ペルソナの前に置く会社ペルソナです。
会社の規模、部門構成、稟議の段階、誰が実質的な影響力を持つかを描くと、どこに訴求を置くべきかがはっきりします。
会社ペルソナを先に作ると、「この会社は情シスが強い」「稟議は部長止まり」といった力関係が言語化されます。
すると、訴求も施策も具体化しやすくなるのです。
ある会社では導入事例を厚くし、別の会社では比較表とROI資料を前面に出す、といった切り分けが自然に決まります。
BtoBは1人の旅ではなく、組織の合意形成の旅です。
そこを起点に描いてみてください。
なぜ今BtoBでジャーニーマップが効くのか|購買行動の変化
BtoBの購買行動は、営業担当に会う前にほぼ方向づけられる前提で考える必要があります。
決裁者の約84%が接触前に購買を決定づける情報へ自力で到達し、比較候補は平均2.6社まで絞られるため、商談の成否は初回接点の前にかなり決まっています。
会社HP・オウンドメディアやホワイトペーパーで情報を集める流れが強まり、展示会は約33.6%減少している以上、接点設計を後追いで済ませる発想では追いつきません。
営業に会う前に勝負が決まる『顧客主導購買』の実態
営業が興味の顕在化前にアウトバウンドしても、「自分で調べるので」と返される場面は珍しくなくなりました。
これは単なる断り文句ではなく、顧客が自分のタイミングで情報を集め、候補をふるいにかける購買行動へ移っているサインです。
BtoBでは平均6〜11名のDMUが関わり、各自が異なる観点で比較するため、営業が会うころには論点がかなり整理されていることも多いでしょう。
この構造では、営業は「説明する人」だけでは足りません。
顧客が最初に触れる記事、ホワイトペーパー、導入事例、比較表の段階で、判断材料をどこまで揃えられるかが勝負になります。
だからこそ、顧客主導購買を前提にしたジャーニーマップが必要になるのです。
どの段階で何を見せるかを決めておかないと、関心の火がついた瞬間に必要な情報が欠け、競合に流れやすくなります。
オンライン自己解決時代に接点を設計する意味
会社HP・オウンドメディア経由の情報収集が約37.6%増え、展示会が約33.6%減少している変化は、接点がオフライン中心からオンライン中心へ移ったことを示しています。
つまり、会場で名刺を得てから育てるのではなく、顧客が自力で調べている最中に、課題喚起、比較材料、稟議材料を順番に差し込む設計が要るわけです。
認知では問題の言語化、比較検討では差分の整理、稟議では社内説明に耐える材料が求められます。
現場の実感としても、マーケと営業で「どのフェーズで離脱しているか」の認識がずれていることは少なくありません。
だが、ジャーニーマップを共通の地図として置くと、感覚論だった議論がKPIベースに変わります。
たとえば、どのコンテンツが認知を作り、どの資料が比較検討を前に進めたのかを揃えて見ることで、部門ごとの責任の押し付け合いが減り、改善点が具体化します。
おすすめです。
マップを作るべき企業・まだ不要な企業の見分け方
もっとも、すべての企業に精緻なマップが先かというと、そうではありません。
商材が単純で低単価、関与者も少ないなら、複雑なDMU前提の設計より、まずは需要そのものがあるかを確かめる方が先です。
立ち上げ初期でリードが極端に少ない場合も同様で、フェーズごとの精密な分解より、誰がどんな課題を持っているかを掴むことが優先になります。
マップは万能な装置ではなく、前提が揃って初めて効く道具です。
見分ける軸はシンプルです。
比較検討が長い、関与者が複数いる、稟議や導入後の合意形成まで見据える必要があるなら、マップを作る価値があります。
逆に、検証すべき顧客像そのものがまだ曖昧なら、先に営業やコンテンツで反応を取り、需要の有無を確かめましょう。
おすすめは、まず主力サービス1つとDMU1人に絞って仮説を置き、反応を見ながら広げる進め方です。
現場では、この順番のほうが無理なく回ります。
マップの基本構造|縦軸・横軸とテンプレートの全項目
BtoBのマップは、購買フェーズを横軸に、社内で起きる変化を縦軸に置くと一気に使いやすくなります。
とくに7フェーズと6行を組み合わせると、どの段階で何が足りず、どこに打ち手を置くべきかが見えます。
感情の起伏だけを描くのではなく、施策とKPIまで含めて設計することで、実務に耐えるテンプレートになるのです。
横軸:BtoB購買プロセスを7フェーズに分解する
横軸は、認知・情報収集・比較検討・稟議・導入・活用・継続の7段階で切るのが基本です。
BtoBでは関与者が多く、しかも意思決定が一度で終わらないため、フェーズを粗くまとめるほど、どの局面で停滞したのかが見えなくなります。
営業、マーケティング、CSの役割分担を整理するにも、この7分解は扱いやすい構造です。
認知では課題の存在に気づき、情報収集では選択肢を広げ、比較検討で候補を絞り込みます。
稟議では社内説明の材料が求められ、導入では運用開始の摩擦が出やすい。
活用と継続まで置くことで、受注後に失注と同じくらい多い「使われない」問題まで追えるようになります。
縦軸:行動・思考感情・タッチポイント・施策・KPIの並べ方
縦軸の標準は、タッチポイント・行動・思考感情・課題・施策・KPIの6行です。
各フェーズ列にこの6行を交差させると、誰がどこで何を見て、何をして、何に困り、どんな施策を当て、何で成果を見るのかが一望できます。
ここで大事なのは、単なる説明ではなく、実際に運用できる粒度まで落とすことです。
とくに施策とKPIの行がないマップは、きれいな心理描写で止まりやすい。
気持ちは丁寧に書けても、次のアクションと検証指標が空白のまま残り、形骸化の入口になります。
思考感情の行では感情曲線を引き、不安や期待が上下する箇所を可視化しますが、BtoBでは感情よりもタッチポイント、施策、KPIの精度が成果に直結します。
だからこそ、縦軸の重心はBtoCよりも実務寄りに置くのがおすすめです。
DMU行を足す:関与者ごとの関心と評価基準を可視化
BtoBのマップで効き目が大きいのが、縦軸にDMU(関与者)の行を足す設計です。
担当者、決裁者、現場責任者、情報システム担当など、同じ案件でも前面に出る人はフェーズごとに変わります。
誰が何を評価するのかを分けて書くと、施策の空白がはっきりします。
実際にこの行を追加すると、稟議フェーズでは決裁者向けROI資料が空白になっている、といったギャップが一目で分かります。
現場担当には比較表が足りていても、決裁者には投資対効果の根拠がない、という状態は珍しくありません。
DMU行は、そのズレを見つけるための欄です。
これを入れてみてください。
単に「誰がいるか」を並べるだけでなく、「その人が何で判断するか」まで書き切ると、マップは一段実務的になります。
作り方7ステップ|目的設定からKPI紐づけまで
目的設定が曖昧なまま始めると、付箋が増えるほど論点が散り、粒度の違う情報が同じ壁に並んで使えないマップになりやすいです。
作り方の起点は手順ではなく目的で、リード獲得の改善を狙うのか、商談化率の向上を狙うのかで、置くべきペルソナも購買フェーズも変わってきます。
まず何を解決したいのかを言語化し、その後に会社ペルソナ、個人ペルソナ、フェーズ、施策、KPIの順でつなぐと、議論がぶれにくくなります。
Step1〜3:目的定義・会社ペルソナ/DMU設定・フェーズ確定
Step1は、目的とゴールを先に決めることです。
ここを飛ばすと、何を見ても全部必要に見えてしまい、情報収集と整理が終わりません。
リード獲得の改善を狙うなら入口の母数と接点設計を厚く見ますし、商談化率の向上を狙うなら、商談化直前の判断材料や意思決定の詰まりを優先して見ます。
つまり、最初に定義すべきなのは施策ではなく、何を改善したいのかという問いです。
Step2では、会社ペルソナとDMUを設定します。
順序が逆だと、担当者像だけが先行して、実際の会社要件や決裁フローとずれた設計になりがちです。
業種・規模・決裁フローを持つ会社ペルソナを先に固め、その中に担当者、課長、決裁者といった個人ペルソナを肉付けすると、同じ商品でも誰が何を気にするのかを整理しやすくなります。
会社ペルソナ→個人ペルソナの順で作るのが基本です。
Step3では、購買フェーズを確定します。
検討初期、中期、比較・選定、最終判断のように、顧客が実際に進む段階を置くと、次の推測がしやすくなります。
ここで大切なのは、自社が取らせたい行動ではなく、顧客が現実に取っている行動を書くことです。
資料請求をしていないのに比較検討に進ませたい、という設計は現場では機能しません。
目的、会社ペルソナ、フェーズがそろうと、後続の施策とKPIがつながります。
Step4〜5:顧客の実行動と課題の推測・施策の割り当て
Step4では、各フェーズで顧客が何をしているか、何に迷っているかを推測します。
たとえば初期なら情報収集の幅が広く、中期なら比較軸が定まらず、最終局面では社内説明や稟議の材料不足が課題になりやすい、という具合です。
ここでも重要なのは、理想の動きではなく実際の動きに寄せることです。
現場ではこうなりがちですが、ここを丁寧に書いたチームほど、施策の議論が早くなります。
Step5では、フェーズごとにタッチポイントと施策を割り当てます。
初期に広告や記事、中期に比較資料やウェビナー、最終局面に事例や提案補助の情報を置く、といった発想です。
ただし、施策を足すこと自体が目的ではありません。
各フェーズで顧客が次に進むための摩擦を減らす配置になっているかを見ます。
営業とマーケティングが別々に考えるのではなく、同じフェーズ定義の上で接点をつなぐと、運用しやすくなります。
Step6〜7:フェーズ別KPIの設定とギャップ分析
Step6では、フェーズごとにKPIを置きます。
初期は流入や接触数、中期は資料閲覧や参加率、最終局面は商談化や進捗率のように、段階に合った指標を設定すると、改善すべき箇所が見えます。
KPIが曖昧だと、施策の良し悪しを感覚で語るしかなくなるため、フェーズと指標は必ずセットで扱うべきです。
数字は細かく置いてください。
Step7は、現状数値とのギャップ分析です。
目標値だけを並べても、どこに詰まりがあるかはわかりません。
現状との差を見て、どのフェーズで落ちているのか、どの施策が弱いのかを確認し、次の改善に回します。
作成は部門横断の4〜6名で進めると議論が偏りにくく、半日〜2日ほどのワークショップ形式が現実的です。
短時間でも、目的とフェーズが先に決まっていれば十分に形になります。
作ってみてください。
購買フェーズ別の顧客行動と施策設計|何を出し分けるか
購買フェーズごとに顧客の関心は変わるため、同じコンテンツを全員に当てる設計では商談も受注も伸びにくいです。
認知では課題を言語化させ、比較検討では社内説得の材料を渡し、導入後は定着と拡張につなげる流れを切り分けて考える必要があります。
さらにMAで接点をつなぎ、MQLからSQLへの受け渡し基準まで設計しておくと、施策は単発で終わりません。
認知〜情報収集:課題喚起コンテンツとホワイトペーパー
認知〜情報収集の段階では、顧客はまだ「何が問題か」を整理している途中です。
ここで効くのは業界課題を扱う記事や、お役立ち資料、ホワイトペーパーのように、現状のモヤモヤを言語化してあげるコンテンツでしょう。
メールアドレスを獲得してリード化する狙いもここにあり、まずは「知る」体験を作ることで、次の接点を持てる状態に変えていきます。
この段階で製品説明を前に出しすぎると、まだ温度感の低い読者には重くなります。
だからこそ、課題の背景、放置したときの損失、現場で起きやすい誤解まで含めて示すのが。
比較検討〜稟議:導入事例・比較表・ROIを示す資料
比較検討〜稟議では、候補が平均2.6社に絞られ、社内説得が始まります。
現場担当者は使いやすさを見ますが、決裁者は「なぜ今やるのか」「費用に見合うのか」を気にするため、製品・サービス解説だけでは足りません。
比較フェーズに導入事例を置かず、汎用的な機能訴求だけで終えた結果、決裁者の社内説得材料が不足して商談が止まる、というのは現場ではよくある詰まり方です。
この局面で強いのは、導入事例、比較表、費用対効果(ROI)を示す資料、見積の4点です。
製品・サービス解説と導入事例は商談化に効き、比較表は候補の違いを短時間で整理し、ROI資料は「その投資で何が返るか」を腹落ちさせます。
稟議は感情では通らないので、決裁者が社内で説明しやすい形に翻訳しておくことが要点です。
| フェーズ | 顧客の主な関心 | 効くコンテンツ | 役割 |
|---|---|---|---|
| 認知〜情報収集 | 課題の言語化 | 業界課題コンテンツ、調査レポート、お役立ち資料、ホワイトペーパー | 気づきの提供とリード獲得 |
| 比較検討〜稟議 | 社内説得、費用妥当性 | 製品・サービス解説、導入事例、比較表、ROI資料、見積 | 商談化と決裁支援 |
| 導入〜継続 | 定着、活用拡張 | オンボーディング、活用支援、活用ガイド、アップセル案内 | 定着とLTV向上 |
MAを使うと、この流れをかなり滑らかにできます。
たとえばホワイトペーパーDL後に関連ウェビナー案内を自動送信し、参加したらスコアを加算してMQL化する、というシナリオです。
DL者に一律で同じ案内を送るのではなく、テーマに応じてウェビナーを出し分けると、営業に渡すMQLの質が安定します。
MQLからSQLへは、例えば「特定テーマの複数接触がある」「比較表やROI資料を閲覧している」「ウェビナー参加後に資料請求へ進んだ」といった行動を基準にすると、マーケと営業の見立てが揃いやすいです。
実際に運用してみると、ここが曖昧なままだと営業が追うべき相手がぼやけます。
ℹ️ Note
スコアリングは点数を付けること自体が目的ではなく、どの行動が商談確度を押し上げたかを見える化するための仕組みです。
導入〜継続:オンボーディングとアップセルでLTVを伸ばす
導入・活用・継続のフェーズでは、受注をゴールにしない設計が必要です。
オンボーディングで初期設定や使い方の不安を取り除き、活用支援で定着を促し、利用が広がったところでアップセル・クロスセルにつなげると、LTVは伸びやすくなります。
BtoBでは、導入後に使われない状態が最ももったいないからです。
この段階では、製品の機能訴求よりも、現場に根づく運用設計がものを言います。
たとえば、導入直後は管理者向けの設定ガイド、定着期には部門別の活用事例、成熟期には追加機能の提案というように、同じ顧客でも出し分けていくとよいでしょう。
受注から継続までを1枚で描いてこそ、BtoBマーケティングの全体像になるのです。
よくある失敗と形骸化を防ぐ運用|『作って終わり』の回避
BtoBのマップ運用で形骸化が起きると、見た目の整った資料だけが残り、現場の行動とずれたまま意思決定に使われなくなります。
止まりやすい理由は、顧客理解の不足、部門間連携の欠如、ROIの不明確さという3点に集約されます。
だからこそ、作成時点で終わらせず、現場の情報で更新され続ける仕組みまで含めて設計しておく必要があります。
失敗の3類型:顧客理解・部門連携・ROIの欠如
マップが機能しない主因は、顧客理解の不足・部門間連携の欠如・ROIの不明確さの3点です。
顧客理解が浅いと、部署内の想像だけで「こう動くはず」という線が引かれ、実際の購買行動から外れていきます。
部門間連携が弱いと、マーケティングと営業で前提がずれたまま資料だけが完成し、現場は誰も自分ごととして扱えません。
ROIが曖昧だと、更新の優先順位がつかず、いつの間にか「作ること」だけが目的になります。
対策も明快で、顧客の生の声を入れ、マーケと営業を同席させ、各フェーズにKPIを置くことです。
『顧客が取る行動』と『取らせたい行動』を混同しない
最も多い罠は、『顧客が実際に取っている行動』ではなく『自社が取らせたい行動』を書いてしまうことです。
営業資料や理想の導線をそのまま並べると、きれいには見えても、実際の顧客はその順番では動きません。
だから机上の空論を避け、顧客インタビューや行動ログで客観的に裏づける姿勢が必要になります。
どこで離脱し、何を比較し、誰が判断に関わるのかを確かめて初めて、マップは現場で使える道具になるのです。
更新され続けるマップの運用ルールとツール
美しいPDFやPowerPointで仕上げると、誰も修正できず、結果として誰も見なくなります。
半年間、壁に貼った立派なPDFが誰にも書き換えられないまま、実態とずれた状態で残るのは典型例です。
運用に必要なのは美しさより更新のしやすさであり、MiroやFigJam、スプレッドシート、模造紙+付箋のように、誰でも書き込める形式を選ぶほうが実務には合っています。
オンラインホワイトボードに移して「気づいたら誰でも追記してよい」と決めた途端、現場の発見が溜まり始めるのは、編集権限の広さが観察の量を増やすからです。
更新ルールも固定の四半期に閉じると形骸化します。
見直すべきタイミングは、マップの記述と実データが食い違った時です。
たとえば想定した接点で反応が落ち、商談化の流れが変わったなら、その瞬間に修正対象として扱うべきでしょう。
データを起点に更新する流れを最初から運用フローに組み込み、会議体、記録先、修正担当を決めておくと、マップは資料ではなく運用資産になります。
実際に回してみてください。
テンプレートの埋め方と次の一歩|まとめ
空テンプレートを先に開き、縦軸にタッチポイント、行動、思考感情、課題、施策、KPI、DMUを並べ、横軸に7フェーズを置いて仮説で一気に埋めていきましょう。
最初から全サービス・全ペルソナを網羅しようとすると、形が広がりすぎて完成前に止まりやすいものです。
まずは主力サービスを1つ、代表的なDMUを1人に絞って試作すると、書き切る経験そのものが型になります。
顧客インタビューを3〜5件行い、行動ログと突き合わせながら自社都合の解釈を削っていく流れが、精度を上げる近道です。
完成したマップはマーケと営業の共通言語として使い、各フェーズのKPIを見ながら改善を回してみてください。
大手マーケティングファーム出身のBtoBマーケコンサルタント。MA導入支援、ABM戦略設計、コンテンツマーケティングの立ち上げを多数手がけています。
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